【サッカー】パフォーマンス向上に必要不可欠‼︎パフォーマンスピラミッドという考え方。
みなさん、いつもブログを閲覧して頂きありがとうございます。
近年のサッカーは様々な戦術の影響でコンパクト化され、選手はスペースもプレー時間も無い中で90分間を通してプレーの最適解を導き続ける能力が要求されています。
”インテリジェンスと高度な技術が求められる様になった。”
と言い換えられるでしょう。
それと同時にパフォーマンス向上のために、選手は脳で描いたイメージを瞬時に身体に伝える身体操作能力や反応速度・正確なポジション取りに必要な空間認知能力。頻繁なデュエルで勝つ為の筋力・パワー、など様々なアスレティック要素が要求される様にもなりました。
つまり現代を生きるサッカー選手は、技術・戦術トレーニングのみならず、時間が無い中で多くのアスレティックトレーニングをこなさなければならなくなりました。
この様な背景が理解できると、サッカーの指導現場ではパフォーマンス向上の為に体系的で効率的なトレーニングプログラムが必要とされているコトも同時に察するコトができます。
というコトで今回はサッカーのパフォーマンス向上の為に、競技力を体系的に分析・アプローチする手法についてまとめました。
具体的に、以下の悩みを抱えた方に向けての記事になります。
✅”シーズンを通してパフォーマンスが不安定で原因が分からない…”
✅”ケガが多く試合に絡めない…”
私自身が海外のサッカーチームで活用している方法を提供したいと思います。
1️⃣:パフォーマンス・ピラミッドとは?
【パフォーマンス・ピラミッド】
モビリティ・スタビリティ・コーディネーション能力を底辺として、中間層にアジリティ・スプリント・パワー・持久力が上乗せされ、最終的に上層にサッカー専門パフォーマンスが位置しているピラミッド型にサッカーに必要なスキル・体力要素を体系的にまとめたトレーニングメソッドになります。
このパフォーマンス・ピラミッドは、サッカー指導現場の多くの局面で活用・応用するコトができます。
例えば…
○トレーニングメニューの組み立て。
○コンディションの評価。
○ケガの予防。
この様なピラミッド型のトレーニングメソッドは、専門家によって様々なモノが存在します。しかし、言葉の表現が異なるだけで言いたいコトは以下の2つ。
①:底辺部分の基礎能力が高ければ高いほど、サッカーのパフォーマンスの伸び代は引き上がる。
②:アンバランスなピラミッドはパフォーマンスの低下のみならず、ケガの発生率を高める。
すなわち、このパフォーマンス・ピラミッドを効果的に活用できればケガが減り、パフォーマンスの伸び代を引き上げれる可能性があるというコト。
まず初めに典型的なアンバランスなパフォーマンス・ピラミッドのパターンについて説明します。
【パターン①:パフォーマンス・ピラミッドの基礎部分が小さい】
典型的なアンバランスなパフォーマンス・ピラミッドのパターンとして、モビリティ/スタビリティ/コーディネーション能力が他の層より小さいケースが挙げられます。
スクワットを例に解説ししょう。
例えば、足関節のモビリティが狭い選手の場合。スクワットのしゃがみ込み時に足関節のロッキングを起こし、後方重心が強制されてしまいます。
スクワットは、ストップ動作・着地動作・切り返し動作の基本動作なので、この足関節の状態ではパワー発揮に重要な体幹筋群の緊張は抜けて、十分に下半身のパワーをパフォーマンスに活用できなくなってしまいます。
加えて、捻挫を始めと足関節の急性外傷の原因にもなりますし、足部の疲労骨折・膝関節の代償による膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)・腸脛靭帯炎(ランナー膝)などの慢性障害に繋がる可能性も出てきてしまうでしょう。
【パターン②:パフォーマンス・ピラミッドの中間層が小さい】
次に多いパターンが、パワー/スピード/持久力/アジリティ能力が不足している場合。
後に詳しく説明をしますが、このパフォーマンス・ピラミッドの中間層は、デュエルが強い・スピードに乗ったら止められない・一瞬の動き出しで相手を剥がせる・90分間を通してスプリントを繰り返せる。など、サッカーのフィジカルパフォーマンスにおいて選手の個性を表現する為に必要な部分になります。
逆を言うと、パフォーマンス・ピラミッドの中間層が小さい場合、個性の無い選手になりがち。
動きに躍動感がなかったり、スピードが物足りなかったり、パワーが必要なボディコンタクトでのボールロストが多かったり、後半に存在感が消えてしまう選手などが挙げられるでしょう。
海外指導者の視点から見て日本人選手のウィークポイントは、間違いなくパフォーマンス・ピラミッドの中間層の不足。
現在、多くの日本人選手がヨーロッパの5大リーグでプレーしていますが、チャレンジの場所を日本からヨーロッパに変えた際にまず一番最初にぶち当たる壁として、外国人選手とのパワーやスピードの差が挙げられるでしょう。
特に、スプリント能力・パワーは、ヨーロッパの選手達に分がある分野。
が、その差に気付いて適切な努力を積み重ねるコトで日本人でも世界と渡り合えると証明した選手達もいます。
事実、日本人は遺伝的要因により筋肉・骨格のサイズに恵まれていません。
その点、育成年代からの計画的なパフォーマンス・ピラミッドの中間層のフィジカル強化は、日本サッカーのレベルアップのためには必要不可欠だと感じています。
以上、パフォーマンス・ピラミッドの典型的なアンバランスについての説明でした。
ここからは、それぞれの構成部分について詳しく説明します。
2️⃣:ピラミッドの基礎部分
アスリートが高い競技パフォーマンスを発揮する上で必要な前提条件として、パフォーマンスピラミッドの基底部分の能力(スタビリティ・モビリティ・コーディネーション)が広いコトが挙げられます。
スタビリティ・モビリティ・コーディネーション、それぞれ解説します。
○スタビリティ
スタビリティとは”安定性”のコトを指し、サッカーの様々なパフォーマンスで要求される能力になります。
例えば、”デュエル”や”スピードに乗った急激な方向転換動作”で身体の軸をぶらさないでプレーする能力など。
スタビリティ能力が高い選手は、代償動作を最小限に抑え次のプレーへの移行がスムーズになるだけでなく、過剰な重心移動が原因で生じるケガの予防をする能力も高いとも言えます。
”スタビリティ”に関して、詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
👇👇【関連記事】パフォーマンスアップに繋がる効果的な”体幹トレーニング。”👇👇
○モビリティ
”モビリティ”とは関節の可動性のコト。
どの程度関節を動かせるかを意味しています。
股関節のモビリティ能力が欠如していると切り返しやジャンプ着地時に過剰な負担が股関節に加わるだけでなく、膝関節に代償動作が生じ”前十字靭帯損傷”や”半月板損傷”など選手生命を脅かす重大なケガにも繋がりかねません。
”モビリティ”は重要な能力なので、スタビリティ能力と合わせて強化したいところ。
”モビリティ”に関して、詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
👇👇【関連記事】【サッカー】コンディショニングに超重要‼︎練習前にモビリティトレーニングを取り入れる4つの目的👇👇
○コーディネーション
コーディネーション能力は身体をしなやかに巧みに動かす能力。
一般的に”運動神経が良い”と呼ばれる能力で、サッカーに必要なパワー・アジリティ ・スピードなどの能力を独立させずにパフォーマンスの中で協調して使える様にする”調整能力”だと解釈しています。
”コーディネーション”は、特に育成年代で重要。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
👇👇【関連記事】【アスリート必見‼︎】パフォーマンスアップに繋がる効果的なコーディネーショントレーニング。👇👇
パフォーマンスピラミッドの底辺部分。モビリティ・スタビリティ・コーディネーションをウォーミングアップで効率的に強化する為のメソッド、”ムーブメント・プレパレーション”について。興味のある方は、以下のリンクから購入ができます。
👇👇【関連記事】【動き作り】パフォーマンスアップに直結する『ムーブメント・プレパレーション』👇👇
3️⃣:ピラミッドの中間層
パフォーマンス・ピラミッドの中間層には、パワー/スピード/アジリティ/持久力が位置。
サッカー選手が、フィジカル的に自分を表現する上でとても重要な要素になります。
○パワー
パワーは『筋力×スピード』で表すコトができ、デュエル時の身体のぶつかり合いやスピードにのった状態での急激なストップ動作や方向転換時の踏ん張り、フルジャンプからの着地などで必要とされます。
サッカーのプレーで、パワーを使う場面がイメージできない方は、以下のリンクを参考に‼︎
○スピード
サッカーにおいてスプリントは、24km /h以上での移動を指し、カウンターやフリーランニング時に必要な体力要素になります。
サイドバックであれば、オーバーラップの際。
ミッドフィルダーであれば、前線へのプレスの際。
フォアードであれば、裏への抜け出しの際。
現代サッカーで求められるコンパクトな局面を打開するのは、ダイナミックな展開でもあります。
GPSでもランニングパフォーマンスを数値化できるコトもあり改めてスプリントの重要性が再認識されており、スプリント専門コーチを雇っているチームも増えている位です。
以前発信したスプリント関連の記事はこちら。
○アジリティ
アジリティは、俊敏性と言い換えるコトができ”一瞬の動き出し”を指しています。
○持久力
一試合での走行距離や何回スプリントを繰り返せたかを指します。
4️⃣:ピラミッドの最上部
パフォーマンスピラミッドの最上部は、その競技特有のスキルや戦術が位置。
サッカーであれば、ドリブル/シュート/パス/ヘディングが当てはまります。
チーム戦術の理解度もこの層に当てはまり、サッカー選手にとって非常に重要でチームとしては勝敗を決定付けるとても重要な要素となります。
チームトレーニングの多くの時間は、パフォーマンスピラミッドの最上部の強化に当てられます。
5️⃣:まとめ
以上、今回はパフォーマンス・ピラミッドについてでした。
サッカーの指導現場で問題解決の糸口が見つからない際、パフォーマンス・ピラミッド活用してみてはいかがでしょうか。
今回の記事が現場で困っている指導者や選手の目に留まり問題解決に繋がれば幸いです。