女子サッカー選手に前十字靭帯損傷が好発する4つの理由。
みなさん、いつもブログを閲覧して頂きありがとうございます。
一般的に関節系のケガは女子サッカー選手に多く発生し、筋肉系のケガは男子サッカー選手に多く発生すると言われています。
特に前十字靭帯損傷に関しては、圧倒的に女子サッカー選手に多く発生。
男女比は、女子サッカー選手は男子サッカー選手の4倍〜6倍だとも言われています。
私自身、ドイツの女子ブンデスリーグでトレーナーとして働き始めて5シーズン目になりますが、たくさんの前十字靭帯損傷に悩まされる選手を目の当たりにしてきました。
というコトで、今回はなぜ女子サッカー選手に前十字靭帯損傷が好発するのかを考察したいと思います。
前回の記事も合わせて閲覧して頂き、前十字靭帯損傷について理解を深めて頂ければ幸いです。
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①:骨盤の大きさ
女性は卵巣や子宮など男性には無い臓器を有しており、妊娠・出産に備えて横幅の広い骨盤の形になっています。
前十靭帯損傷のリスクの高い骨の配列としてX脚が挙げられます。
典型的な受傷シーンとして、膝が内側に入りつま先が外側に向く、Knie in – Toe outの動作を引き起こす可能性が非常に高いからです。
骨盤に横幅があると、大腿骨の傾きが男性に比べて相対的に内側に入ってしまい、X脚になり易くなってしまいます。
以上の理由から女子サッカー選手に前十字靭帯損傷が好発する理由の一つとして”骨盤の幅”が挙げられるのです。
②:関節の弛緩性
女性はホルモンの影響により、男性と比較して身体の関節が柔らかいコトで知られています。
前十字靭帯損傷のリスクが高まる骨の配列に、X脚に加えて”反張膝”が挙げられます。
”反張膝”とは、いわゆる膝が緩い状態で過剰に反ってしまっている状態です。
前十字靭帯は、膝の後方から前方へ走行し膝が過剰に反らない様に制御しているので、もともと反張膝を有している女子サッカー選手の膝は前十字靭帯損傷を引き起こし易いと言ます。
③:体脂肪と筋量の割合
女性の身体は男性の身体と比較して、脂肪をため込み筋肉が少ない生物学的特徴を有しています。
筋肉には、力を産み出したり関節を守る働きがあり、一方で体脂肪はエネルギー源になる役割はあまりますが、基本的には重りとなってしまいます。
つまり、関節を守る働きのある筋肉量が少く重りになる体脂肪が高ければ、方向転換動作やストップ・着地動作での関節の負担が増す原因になり、膝を捻るリスクも引き上がってしまうと言えるでしょう。
④:ホルモンバランス
女性特有のホルモンとしてプロゲステロンとエストロゲンの2つのホルモンが挙げられます。
女子サッカー選手の身体は、プロゲステロンとエストロゲン2つのホルモンの影響を常に受けているので複雑。
疲労をコントロールすればコンディションが上がるというわけではありません。
エストロゲンは、女性らしさを作るホルモン、プロゲステロンは、妊娠の準備の為のホルモン。
この2つの女性ホルモンはは異なる波長を描きながら体に様々な影響を及ぼしています。
この2つのホルモンのバランスが崩れた際に前十字靭帯損傷が頻発すると言われています。
⑤:まとめ
以上、今回は女子サッカー選手に前十字靭帯損傷が多く発生する理由をまとめました。
この記事を読んだ指導者の方が、女子サッカー選手に好発する前十字靭帯損傷について理解を深めて頂ければ嬉しいです。
それでは。