【サッカー】身体のキレを出すための筋力トレーニングの方法『RFD:Rate of Force Development』
みなさん、いつもブログを閲覧して頂きありがとうございます。
サッカーの現場で働いていると『サッカーに使える筋肉・使えない筋肉』と耳にするコトがあります。
なぜ、この様な表現の違いが生まれるのか、サッカーの競技特性から筋肉はどの様な使われ方がされているのかを考察するコトで答えが見えてくるのではないでしょうか。
筋肉が発揮できる限界の力のコトを『最大筋力』と呼びます。
サッカーに限らず野球・バレーボール・バスケットボール•ハンドボールなど、スポーツ全般に言えるコトですが、サッカーのパフォーマンスの中で『最大筋力』を発揮するシーンは殆どありません。
最大筋力を発揮するまでには、抵抗があるコトを前提に数秒間の時間が必要となります。
サッカーであれば、シュート・方向転換・デュエル・ジャンプ着地…
多くのアクションは1秒にも満たない時間で完結し次のアクションに移行してしまいます。
このコトを考えると、トレーニングによって『最大筋力』を鍛えたとしてもパフォーマンスの中で発揮する機会がなければ、最大筋力向上の為のトレーニングの価値を見出すのは困難と言わざるを得ません。
つまり、多くのスポーツで要求される筋肉のパフォーマンスは『いかに早く筋力を高いレベルまで立ち上げるか』にかかっていると言っても過言ではありません。
この筋力の立ち上げスピードを専門的に『筋力の立ち上がり(RFD:Rate of Force Development)』と呼びます。
例えば、方向転換時に素早く筋力を立ち上げられれば、効率よく地面をける動作に繋がり、方向転換のスピードが加速するコトに繋がります。
RFDの強化は、身体のキレに繋がると言い換えるコトができます。
ジャンプ動作も同様、素早い筋力の立ち上げに優れていれば、より早く最高到達点まで到達するコトが想像できます。
逆に、筋力の立ち上がりが遅いと強力な地面反力を得るダイナミックな方向転換やジャンプ動作をするのは難しくなります。
というコトで、今回はサッカーに必要な筋力トレーニングの考え方、『筋力の立ち上がり(RFD:Rate of Force Development)』についてまとめたいと思います。
①:サッカーにおける『筋力の立ち上がり(RFD:Rate of Force Development)』
具体的なサッカーのパフォーマンスと絡めて説明すると、前線からのプレッシング時やサイドバックの駆け上がりの際、足の裏が地面と接地している瞬間は僅か0.1秒と言われています。
シュートや局面を打開する為のロングフィード・キックのインパクト時間は、0.01秒にも満たない。
デュエルや球際の闘いの身体接触の時間は、長くても0.2秒程度。
サッカーの筋力パフォーマンスの多くは、1秒にも満たない時間で完結し次のプレーに移行するので、サッカーのアクションの中で素早く筋力を立ち上げ、それを連続して行える能力が要求されるということになります。
この図の様に、RFD に優れた選手がサッカーに必要な筋肉を持っていると言えます。
②:RFDのトレーニング方法
ここまで、サッカーのパフォーマンスにおいてRFDの重要性を理解できたと思います。
次に、気になって来るのがトレーニング方法。
どの現場でも活用できるように単純なトレーニング方法で解説したいと思います。
方法は、簡単。
『動きの切り返し局面を意識して、そこから爆発的に筋肉を収縮させる。』
例えば、下半身の自重の筋力トレーニングで代表的なのが”スクワット”。
RFDを鍛えるためには、”スクワットジャンプ”の様な種目が効果的。
腕立てジャンプの動作は、以下の3つの局面に分けるコトができます。
①:膝を曲げながら・お尻を地面に近づけるフェーズ
②:膝が曲がった状態・お尻が地面に最大限近づいている切り返しのフェーズ
③:膝を伸ばしながら・お尻を地面から離しジャンプするフェーズ
RFDの強化で意識して欲しいのは、②と③の局面。
最大に沈み込んだポジションで一瞬、静止して爆発的に自体重を挙上させる意識を持つコトで、筋力の立ち上げスピードの基礎を鍛えるコトができるのです。
③:ピッチ上のトレーニングで意識するべきポイント
スクワットジャンプで鍛えた筋力の立ち上げスピードを実際のパフォーマンスに反映させなければなりません。
この点、最終的には100%の切り返し動作やストップ動作などを取り入れられれば、サッカーのパフォーマンスの中でRFDトレーニングの効果が反映される可能性が高くなります。
取り入れるタイミングとしては、スモールサイドゲームが入る日のウォーミングアップがオススメ。
スモールサイドゲームでは、トレーニング中の切り返し動作やストップ動作が対人の中で増えるので、サッカーの実際のパフォーマンスの中でのRFDが重要となるシーンが非常に増えてきます。
アクチベーションとして取り入れるなら、試合前日でも刺激を入れる程度に量を調整して取り入れるのもあり。
怪我の予防と動きづくりによるパフォーマンスアップの観点から、ウォーミングアップの中でRFDのトレーニングを事前刺激として取り入れるのは理に叶っていると解釈しています。
④:まとめ
サッカーのピッチ上で起きている事実、つまり競技特性から逆算して『何を…』『どの様に…』『何を目的に…』傷害予防やパフォーマンスアップのトレーニングを組み立てるのは永遠のテーマ。
筋力トレーニングもサッカーのパフォーマンスに直結し効率よくパフォーマンスアップに繋げるコトが常に求められます。
この記事を読まれた方が『筋力の立ち上がり(RFD:Rate of Force Development)』について理解を深め、普段のトレーニングに活用して頂ければ幸いです。
それでは。