【海外サッカー】アスリートのラマダン事情
みなさんいつもブログを閲覧して頂きありがとうございます。
みなさんは、ヨーロッパ人と聞くとどんなイメージを持ちますか?
背が高くて、肌が白くて、髪はブロンドで目が青色。
でも実際、ヨーロッパに来てみると、いろいろな人種が入り混じっているのがよく分かります。
特に、ドイツでは…
トルコ人を中心としたアラブ系の出で立ちの人達を多く目にします。
アジア系、アフリカ系の移民も街ではよく見かけ、”人種の坩堝”という言葉がしっくりきます。
それだけの人種が入り混じれば、起こるのが価値観や宗教の違い。
私が働いているブンデスリーグの女子サッカーチームも例外ではありません。
先日のWolfsburgとの試合のコト、2021年のラマダン4日目に当たりました。
ラマダンとは、イスラム教の宗教行事。
前泊の食事会場では、選手が何を食べているのか観察していると…
2人の姿がないコトに気がつきました。
スタッフに確認すると…
『ラマダンだからね。』
私自身、このラマダンについて『イスラム教の断食』という認識しかなかった…
調べていると、リバプールの有名なサラー選手もラマダンを実施しているコトが分かりました。
というコトで、今回はアスリートを取り巻くイスラム教の宗教行事 ラマダンについてまとめました。
1️⃣:ラマダンとは
そもそも、ラマダン=断食ではない。
ラマダンと聞くと、一般的に断食を連想する人が殆どだと思いますが、実際の意味は、『ラマダン=断食』ではありません。
ラマダンとは、イスラム教の9ヶ月目にあたる暦のコト。
期間中は様々な欲を断ち、自身を清めるコトを目的として行われています。
ただし、会話の中では『ラマダン=断食』として認知されているコトが多いと感じます。
ラマダンはどの位の期間実施するのか
期間は、約1ヶ月間。昨年のラマダン(2020年)は、4/23〜5/23の期間。今年は、4/13〜5/12に実施されています。
実施期間は、年によって異なります。
場合によっては、ラマダンの期間がオリンピックの開催期間や大切な大会と被ってしまうコトも…
そんな時、アスリートはどの様な対応をしているのでしょうか?
断食は、どの様に実施するのか?
日本で断食と聞くと、実施期間は、何も食べないイメージだと思います。
しかし、実際のラマダンでは、日の出から日没まで行われます。
つまり…
断食を一日中しているわけではなく、太陽が沈んだら食事はできるというコト。
私のチームのイスラム教の選手は、遠征の帰りのバスの中では、普通に食事をしていました。
太陽が沈んでからは、通常の食事ができ、そこで食いだめします。その為、ラマダン期間中に太ってしまうイスラム教徒もいるとか…
2️⃣:アスリートも対象なの?
やるかやらないかは、個人のモラル
ラマダンは、義務。もちろんイスラム教徒のアスリートも対象。
しかし、基本的には、やるかやらないかは個人の宗教モラルに依存しているようです。
以下に紹介する方法で、個人的に調整をするアスリートもいます。
柔軟な対応をするアスリートもいる
柔軟にラマダンを解釈するコトもできる様です。
あるテニス選手の大会がラマダンと被り、ラマダンを大会後に実施し埋め合わせするコトで、大会期間の断食を回避した選手もいます。
その一方で、大会期間中もラマダンを実施する選手もいる様で、やるかやらないかは、個人の宗教モラルに依存する様です。
私達のチームの選手も、夜の食事会場には姿を現しませんでしたが、試合当日の軽食はとっていました。
遠征中は旅行とみなしても良い
ラマダンを回避できる条件の1つに、『旅行中』という条件があります。
ロンドンオリンピックもラマダンの期間と被りましたが…
オリンピックによって、ロンドンを訪れるコトは、このラマダンの回避条件『旅行中』に当てはまる為、大会期間の断食は回避できた様です。
3️⃣:実際のサッカー選手の声
まだ、4日目だから大丈夫…
アスリートにとって心配なのが、断食がパフォーマンスに及ぼす影響。
ラマダン中の選手の治療での会話。
『調子はどお?』
『まだ、4日目だから大丈夫…』
断食期間後半になると、やはりコンディション維持が難しい様です。
選手の実際のパフォーマンス
ラマダンを実施している選手のパフォーマンスは、1試合を通して良かった印象です。
むしろ、いつもよりキレが出ていて、ここ最近ではベストなのでは…と感じる位。
やはり、彼女達も国を代表するプロ選手なので、ラマダン中だろうが、試合にコンディションを合わせる能力は非常に高い。
まとめ
今回は、イスラム教の宗教行事ラマダンについて、ドイツのプロサッカーチームで働く経験を踏まえて発信させて頂きました。
2020/2021ブンデスリーグも残り、数試合となってきました。
我々にとってアウェーの試合は、Hoffenheimとの1試合のみですが、これからどんどん気温が上がり、ラマダンの選手達に取ってはコンディションを保つのが難しい環境になります。
残り、数試合ケガが起きない様に見守りたいです。
過去に海外の食事事情として以下の記事を書きました。関連記事として目を通していただけると嬉しいです。
それでは。
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